- Uターン
石野雅俊さん -
- 移住年2017年
- 仕事人材紹介 / せとうちラボラトリー
高松で実現した、新しい働き方
「働き方改革」が声高に叫ばれる中、高松にUターンし、新しい働き方を実現している若者がいる。石野雅俊さんは、サラリーマンと個人事業の2つの仕事を持ち、さらにサラリーマンは在宅勤務で仕事を行っている。ダブルワーク、リモートワーク。これからの時代に求められる新しい働き方が実現する背景には何があるのだろうか。
「サラリーマンは人材紹介の仕事を、個人事業は『せとうちラボラトリー』という屋号で香川の特産物である和三盆糖を多くの方に知っていただくための事業を行っています。自分の事業だけに専念するという選択肢もあったのですが、お金の面での不安もありましたし、何よりも人材紹介の仕事内容や、やりがい、そして一緒に働いている上司や同僚のことを尊敬していて、まだまだ一緒に働きたかったので、『在籍しながら自分のやりたいこともやっていきたい』ということを上司に正直に伝えました。複数回の話し合いを経て、最終的には制約付きで今の働き方を認めていただく形となりました。話し合いの中で、こちらから会社に相談したことは3つあります。1つ目は、香川(自宅)で在宅での勤務がしたいということ。和三盆は地域のもので、地域に深く寄り添って関わってやっていきたいという想いを伝えました。2つ目は、週5日勤務から週4日勤務への変更。プライベートや事業の時間の確保のために週4日勤務にしてほしいということを伝えました。3つ目は、兼業の許可です。ずっと『難しいかもしれない』と言われていましたが、真剣に検討くださり、最終的に認めていただけました。今の会社・上司・同僚には、本当に感謝をしています。実質、勤務日数はこれまでより減りましたが、きちんと成果をあげたり、お客様に対して誠実な対応をしなければいけないという意識を今まで以上に強く持てています。あとは、『在宅だからできない』と考えるのではなく、『在宅でも本社と同じようにできる、在宅だからできる』という意識をもって仕事に取り組むようになりました」
東京での仕事と、香川でのリモートでの仕事と、その違いは
「働き方に違いは感じていないです。本社にいた時と業務内容はほとんど変わっていません。変化があるとしたら、周りに人がいないので、ちょっとした雑談がなかったり、チーム員の稼動が逼迫しているのかなとか、余裕があるのかなといった表情が見えないことです。できる限りチャット等を活用して状況は教えてもらっていますが、目では分からないので。不便があった場合は、常に上司に報告をして解決策を見つけています。自分が最初の在宅勤務社員なので、次の方につながるように仕組みづくりという点は意識して取り組んでいます」
東京の暮らしと、香川の暮らし、暮らしの面での違い
「接する友達が、東京にいた頃は大学や会社の友達でした。香川では、家族や幼なじみといっしょにいることが多くなりました。地元の友達とは、フットサルをしたり、ロードバイクを買って走っています。ロードバイクは、週2回を目標に、早朝に屋島や庵治を走っています。余暇の中身が変わったというよりは、接する人が変わった感じです」
新しい働き方への挑戦、家族の想い
「人材紹介会社で勤める前は銀行にいましたが、銀行を辞めるときは驚いて、少し心配していました。ただし、やりたいならやっていいと応援してくれました。今も、個人事業の仕事を、母に手伝ってもらっています。自分もいっしょに事業をやっている感じで手伝ってくれていて、事業のことに興味を持って聞いてくれたり、応援もしてくれています。逆に、周りの人からは、『銀行にいた方が良かったのに、もったいないねぇ~』とよく言われますね。どちらが良かったかという事は今も先もわからないと思いますが、公私ともに充実した日々が過ごせるよう、1日1日大切に過ごしています」
2つの仕事をすること、在宅で仕事をすること、その良さと大変さ
「サラリーマンとして働いていて得られる事や、挑戦できる事は非常にたくさんあると思っています。もしサラリーマンを辞めて、和三盆の事業だけをやっていたら、企業で勤めている人のスピード感に置いていかれそうだなと思います。20代後半になったばかりで、それでいいのかという想いは持っていました。逆に、個人事業をやって良かったのは、ほとんどのことをゼロからやっていけることです。そういう経験はサラリーマンで経験できる機会がそう多くはないと思いますので、それが身近に経験できるという点は良かったと思います。大変なことは、業務管理です。2つ仕事をすると、あたりまえですが、マルチに仕事をこなせないといけなくなります。ただ、これはサラリーマンの仕事をしていても同じことなので、2つの仕事をしているから起きるものではありませんが、このスキルがより必要だと感じられます」
2つの仕事をすること、在宅で仕事をすること
自分もこれからの新しい働き方に挑戦したいと思った方へ
「『何かをやりたい』と思った場合、ひとりでやれることはあまりありません。必ず周りの人に認めてもらったり、サポートをしてもらいながらじゃないとできないと思います。認めてもらうためには、熱意・実績・継続性がないといけない。そこのプロセスがあって初めて、そういう働き方に辿りつけるのだと思います。そのプロセスを、努力を怠らずにやり続けていくことが大切です。あとは『やりたいこと』を言い続けることですね。急に言っても、周りは困りますから。ちゃんと言って、言い続けて、それを達成するまでにどういうことが必要かを考えて、やり続けることが大切だと思います(もちろん、言っていいかどうかは場合によると思います)。今の会社でも、両立よりも最初は成果を出すということに必死でした。そこから徐々に、成果を出すだけではなく、周りを見ながらどういうことができるかを考え、行動していくと、全社総会の場で事業部代表として発表の機会をいただけるなど、少しずつですが、会社の一助になれているのかなという実感を得られました。そんな時、様々な事情があり、今の働き方を会社に相談させていただきました。もちろん、認めてもらうまでにも、様々な経緯はありましたが、今こうして働かせていただいています」
高松でできる、最先端の新しい働き方。誠意を持った挑戦を経て、石野さんは今、東京にいた頃よりも充実した時間を過ごすことができている。
「高松に帰って来て良かったのは、家族が近いこと、海が近いこと、友達が近いこと。今すごく充実しているのは、仕事だけではなくて、両親や友達の協力や、友達からのプライベートの誘いや、海からもらえる癒しなど、自分の好きなもの、海や家族や友達が近くにあること、これがとてもいいことだなと感じています」